はじめに
夏の車中泊は、厳しい暑さが大きな問題となります。エンジンを切って静かに過ごすのがマナーとされているため、エアコンを一晩中つけるという選択肢はありません。また、車のバッテリーに無理をかけることも避けたいところです。そんな時に役立つのが、自作のクーラーです!コストパフォーマンスに優れ、環境に配慮したクーリング方法として、自作クーラーはおすすめの選択です。
自作クーラーのメリットとデメリット
メリット
- コスト効率
自作のクーラーは、市販のエアコンやクーラーに比べて非常に低コストです。設備費や人件費、材料費がかなり抑えられ、必要な材料はホームセンターやオンラインショップで比較的安価に手に入れることができます。 - 環境負荷
自作クーラーは電力をほとんど消費しないため、車のバッテリーや電源を節約できます。外部電源を利用すれば、そもそも車のバッテリーを使用する必要がなくなります。これは特に長時間の車中泊において重要なポイントとなります。 - カスタマイズ
自作ならではのメリットとして、自分の好みや必要に応じてサイズや形状を自由に調整できる点があります。また、見た目などのデザイン部分にクリエイティブな要素を加えることも可能です。
デメリット
- 冷却能力の限界
自作のクーラーは、市販のエアコンほどの強力な冷却効果は期待できません。外気温が非常に高い場合や直射日光下での使用には向いていないかもしれません。 - 手間と時間
材料の調達から製作までには一定の時間と労力が必要です。また、手作りのため、一定の工作スキルや知識が必要となります。 - メンテナンス
自作クーラーは、アイスパックを定期的に冷凍するなど、一定のメンテナンスが必要です。また、故障や不具合が生じた場合、自己責任で修理や対応を行う必要があります。
必要な材料
- ポータブルファン
このファンがクーラーの主要な部品となります。USB接続型のものがおすすめです。これは、モバイルバッテリーなどから簡単に電源を供給でき、かつ消費電力が少ないからです。 - アイスパック
再利用可能なものを選びましょう。これは、クーラーの冷却源となります。アイスパックは、使用後に冷凍庫で凍らせて再利用できるので、コスト効率が良いです。ほかには、コンビニ等に売られているアイスブロックも使用できますが、融けた後の水の処理に困らないようにしましょう。 - クーラーボックス
容量はファンとアイスパックが収まる程度のものを選びます。クーラーボックスは、アイスパックの冷気を閉じ込め、それを効率よく車内に送る役割を果たします。見た目にこだわらず、強度に気をつけることができるのであれば、スチロール製のクーラーボックスが加工がしやすく、製作の難易度を下げることができます。 - プラスチック製のパイプ
これは、クーラーボックスから車内へと冷気を運ぶためのパイプです。直径と長さは車内の空間に合わせて選びます。車内でクーラーを置く位置や冷気を送りたい場所により、適切なサイズが変わる可能性があります。スチロール製の加工がしやすいクーラーボックスであれば、ボックス自体にルーバー加工を施して、風向等を整えられるので、不要となるかもしれません。 - 電池
ポータブルファンの電源として必要です。USB接続型のファンを選んだ場合、電池ではなくモバイルバッテリーを使用することも可能です。 - 工具
ノコギリやドリル、カッターナイフ、接着剤など、クーラーの組み立てに必要な工具です。具体的には、クーラーボックスに適切な大きさの穴を開けるためのドリルや、パイプを必要な長さに切るためのノコギリ、細かな加工にはカッターナイフ、固定には接着剤が必要となります。また、安全に作業を進めるために、作業用手袋や保護メガネも準備すると良いでしょう。
製作方法
- クーラーボックスの蓋への穴あけ
まずはじめに、クーラーボックスの蓋に、ポータブルファンがぴったりと収まるような穴を開けます。このとき、ファンの大きさを精密に測定したり、マジックペン等でボックスにファンの形状に沿ってガイド線を描くなどして、その寸法に合わせてカットすると、ファンの固定がスムーズに行えます。ドリルやジグソーを使うと良いでしょうが、安全に作業を行うために必ず保護メガネや手袋を使用してください。 - クーラーボックスの側面への穴あけ
次に、クーラーボックスの側面に、プラスチック製のパイプが通るための穴を開けます。この穴から冷たい空気が車内に送り込まれるので、穴の位置は車内でクーラーを設置する場所を考慮に入れて決定します。パイプが自由に動かないように、適切なサイズの穴を開けることが重要です。 - アイスパックの配置とポータブルファンの設置
クーラーボックスにアイスパックを入れ、その上にポータブルファンをセットします。ここで、アイスパックは予め冷凍しておく必要があります。また、ファンはアイスパックに直接当たらないように配置すると、冷風の効率が良くなります。 - 作動原理と電源供給
この自作クーラーの仕組みは、ファンが空気をクーラーボックス内に送り込み、その空気がアイスパックで冷やされ、その冷気がパイプから車内に出るというものです。ファンは電池で動かしますが、USB接続型の場合はモバイルバッテリーや車のUSBポートから電源を供給することも可能です。長時間の使用を考えると、容量の大きなモバイルバッテリーの使用がおすすめです。
実際に作って実用した感想
自作クーラーを実際に作ってみました。加工が簡単なスチロール製のクーラーボックスを使った簡易版でしたが、車中泊に使用してみた結果、その効果に驚くほど感銘を受けました。スポットエアコンのような役割となり、車内を涼しくするというよりは身体に冷気を直接当てて涼をとる形となるのですが、特に夜間の車中泊時には、エアコンをつけずとも涼しさを感じることができ、快適さを得られることが実感できました。
また、クーラーの電源として使用したモバイルバッテリーや車のUSBポートからの電力供給は非常に安定しており、電池の持ちも良好でした。これにより、一晩を通して、アイスパックの融解までは冷気の送風、その後は通常の送風機となりますが、安心してクーラーを使用することができ、夜間の車中泊をより快適に過ごすことができました。
さらに、ポータブルファンが静かに動作するため、クーラーの音で目覚めることなく、深い睡眠を確保することができました。通常のエアコンの稼働音と比較しても、自作クーラーの静かさは大きなメリットとなります。
最後に、自作クーラーの使い勝手の良さにも感心しました。アイスパックの交換は簡単で、また再利用可能なので繰り返し使用できます。これにより、車中泊のたびに新たな冷却剤を準備する手間が省けました。
以上の結果から、自作クーラーは車中泊における強力な味方となること間違いなしです。
おわりに
自作クーラーの製作は、一定の手間と時間が必要ですが、その結果得られる快適な車中泊の時間は、その労力を補って余りある価値があります。暑い夏の車中泊でも、自作クーラーがあれば快適に過ごせます。ぜひ、一度お試しください。